棺桶に入れてもらうアルバム 14番目の月/荒井由実
八王子の実家に帰省したその帰り、バスで駅に向かう途中、窓の外にふと目をやると「荒井呉服店」が見えた。ユーミンの実家である。
彼女は、私を私にしてきたアーティストのひとり。私のiTunesの中には、彼女の曲が二番目に多い(一番はプリンス)。
1枚だけ彼女のアルバムをあの世に持っていけるとするなら、私は「14番目の月」にする。1976年発売の4枚目。荒井由実名義での最後のアルバム。調べてみたら、22歳の時の作品だった。22歳にして、身がパツンパツンに詰まったこの曲群、この充実ぶり。まったく怪物である。
私がこのアルバムで好きなのは「ビート感」かもしれない。強めのビートで、若い女性の恋のトキメキがみずみずしく演出されていて、聴いているこちらにもドキドキが感染る。たぶんその感じが好きなのだ。
アルバムから一曲を選ぶなら「天気雨」だ。波間が光る海の景色が浮かんできて、こんな歳を重ねたオジサンでも自分が少女になった気がしてしまう(おかしいのか、オレ?)、マジカルな一曲だ。
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